MENU
ワンちゃんと
泊まれる宿 ご予約
Article

読みもの

インタビュー

アットホームで楽しい。ペットも気楽に過ごせるMEKIKI古民家

かつては養蚕農家が多かった山梨市江曽原集落。まちを歩くと、屋根の中央部分を切り上げたやぐら造りの民家が今も残されています。このやぐら造りは、屋根裏を蚕室にしたときに光や風を通すためにつくられたものだとか。歴史を感じさせるこの集落の古民家をリノベーションしたのが、ワンちゃん連れOKのカフェ&宿泊施設「MEKIKI古民家」です。市街地から少し外れた場所にありながら人を惹きつける魅力を探りました。

見学した日に即決。養蚕農家の民家からカフェへ

山梨市駅から山間側に車を走らせること約6分、民家が立ち並ぶ路地を進んだ先にカフェと宿を展開する「MEKIKI古民家」があります。店へと続く小路は、店名入りのオレンジの大きなポストが目印。一体どんな場所なんだろうと期待しながら歩くと、突然視界が開けてやぐら造りの大きな建物と広い庭が出迎えてくれます。民家が軒を連ねるエリアでありながらプライベート性が保たれた心地よい空間。隠れ家のような居心地の良さを感じます。

「MEKIKI古民家」のオーナー・三成(みなり)俊輝さんは2020年4月に株式会社MEKIKIを創業し、工務店の支援事業をおこなってきました。ある時、山梨で紹介してもらった物件を見学。

「この建物を見学したとき、どう活用したら楽しいかすぐにイメージが湧いたんです。ここでカフェをすれば、必ず人が集うようになる。そんな直感を信じて、その日のうちに賃貸契約しました」

こうしてリノベーションはスタート。購入物件ではないことから屋根などの修繕費用は家主の方が持ってくれたと言います。

「とても良いオーナーさんで、今も週に一度は立ち寄ってくれるんです」

地域のつながりを大切に。地場産の食材でつくるメニュー

こうして2020年10月、家屋の1階でカフェをオープン。引き戸を開けると土間が広がり、その脇にはかつて2階の蚕室への荷運びや荷下ろしに使っていた昇降機が残されています。店内は複数あった部屋をひと続きにし、隣り合う人を気にせずくつろげるようにテーブルを配置。床材は畳ですが、小型犬と抱っこできる中型犬までは店内も利用できるようにしています。
開放感があって明るい雰囲気の店に合う、朗らかな雰囲気で迎えてくれるのは、店長の小林さとさんです。

「カフェの経営からメニューづくり、接客などのすべてを任されています。最近ではカフェのリニューアルとあわせて、新しいメニューを考案しました。いつかは私も店を開きたいという思いがあるのですが、ここでやりたいことがたくさんあるので実践しています」(さと店長)

こだわったランチメニューは2品。1つは市内の飲食店がつくる、三成さんお気に入りのサワードウブレッドを主役に、市内の精肉店から仕入れるソーセージとサラダ、自家製のガーリックバジルバターを添えた「サワードウブレッドのプレート」。もう1つは市内の精肉店から豚の塊肉を仕入れ、オリジナルのスパイスの配合でじっくりと火を通した「プルドポークライス」。味わい、食感の良い雑穀米にほろほろとやわらかな肉が見事に調和した1品です。

“コミュニティ・ホテル”で生まれるつながり

翌年には、空いてた2階を客室にして宿泊事業もスタート。

「幼少期には父の仕事の関係でアメリカに住んでいて、その後も留学や旅行でいろんな国に行くうちにたくさんの知り合いができました。僕が好きなのは、ユースホステルのように人種も年齢も関係なく宿泊した人同士がより集まって、ちいさなコミュニティが生まれて、帰る頃には『ここでまた会おうね』と言い合えるような場所。だからMEKIKIの宿泊施設は、コミュニティ・ホテルって呼んでいるんです」

さらには敷地脇を流れる兄川に面して、自分たちで建てたタイニーハウスと呼ぶ離れもあります。シャワールームやトイレは共用ですが、客室ごとに特徴があるので、家族連れやカップル、1人でも利用しやすい雰囲気です。カフェと同様に全室中型犬まで一緒に寝泊まりできるのもうれしいポイントです。
また、宿泊事業をスタートしたころ、愛犬家にも知ってもらおうと“ペット連れの宿泊の方無料”といったユニークなサービスを打ち出したことも。そこで需要の多さに気づき、犬種限定で三成さんも好きだというフレンチブルドッグ愛好家だけを集めたイベントを開いたことも。ほかにも兄川にホタルが舞う時期には鑑賞会を開くなど、不定期でさまざまなイベントを開催しています。

「人が集い、つながる場には、エンタメ性が大事だと思っているんです」

いつ訪れても楽しいと思える場づくりには、三成さん自身のこれまでの出会いやつながりが核となっています。たとえば床の間がある部屋は、いつかは店を開きたいとアンティーク収集している人に自由に使ってもらっています。そのつながりからONETRIP取材時には陶芸家の志村観行さんの作品が展示・販売されていました。ほかにもアパレルや雑貨なども販売しています(展示・販売は不定期で変わります)。

MEKIKIから広がる、“あたらしい村”づくり

見つけた古民家をいかにリデザインし、人が集まる場にするか。その根底には幼少期に過ごしたアメリカでの生活、そして父に連れられてさまざまな体験が活かされています。

「僕が大切にしているのは『経験こそが自分の武器になる』という言葉です。新しい環境やコミュニティなど、気になったらすぐに入ってみる。自分より立場が上の方とも会う機会が多いけど、そういった時に『経験をください』って伝えてみる。そのせいかな、同世代と比べても圧倒的に人と会ってるし経験も増えていると思います」

こうした経験で得たものが、MEKIKIの空間やサービスにアウトプットされています。

「一度は歴史が途絶えてしまったものを、誰かが使うことで未来へとつなぐ。僕は大学で都市計画について学んできたので、最終的には使われなくなった古民家を軸にしたまちづくりをしていきたい。自分が生きている間に国内外問わず3つの地域で、理想とするアットホームで楽しい村のようなコミュニティをつくりたいですね。時間が足りるかな(笑)」

インタビュー中に幾度も出た“楽しい”のことばは、MEKIKIの礎となっています。ここに来れば、人もペットも気兼ねなく過ごせて、ワクワクできるはずです。

Information
MEKIKI古民家
住所/山梨県山梨市江曽原594
電話/0553-39-9668
営業/カフェ:土・日曜の12:00〜16:00、バー:宿泊者限定で予約制
休/カフェ:月〜金曜、宿泊:水曜
P/あり
※最新情報はInstagram( アカウント:mekiki_yamanashi )をご確認ください
Recommended
おすすめの記事